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借地,底地のお悩み事例

​ 1 突然地主から更新しないと言われた。

​ 借地契約には,20年,30年といった期間が設定されております。地主さんとしては,もともと自分あるいは親が所有していた土地である以上,何年も貸したのだから当然に返して欲しいと考えるかもしれません。地主さんから,更新しないと言われ,これに素直に応じてしまうと,大変なことになるかもしれません。地主さんに土地を返すとなると,当然建物を取り壊して土地を元に戻した上で返却する必要がありますが,それにかかる費用は決して安くありません。実際,地主さんには長年お世話になったし,ごねるのもみっともないと思い,建物を取り壊して立ち退いてしまった例は数え切れないほどあります。

 地主さんが期間満了を理由に更新を拒絶するためには,自ら使用する必要性などの「正当な事由」が必要とされております(借地法4条)。この正当事由が認められるためには,一定の金銭の支払い(立退料)が伴うのが通常です。

 そこで,土地の使用を継続したいのであれば,素直に立ち退きに応じるのではなく,更新請求をした上で,正当事由の有無について争う必要があります。また,建物が空き家になっているなど,土地を使用する必要がない場合でも,更新請求をした上で,立退料の交渉をすべきなのです。

 また,更新をするとなると,高額な更新料を要求される場合があります。これも素直に払ってしまってはそれまでですが,当然,更新料にも相場的なものがありますし,賃貸借契約書に更新料についての取り決めがなければ,原則として更新料の支払い義務はありません。

 

 2 不要となった借地権付き建物を処分したい。

 相続により,実家を相続したものの,すでに住居を持っているため,地代だけを毎月払っているなどという例は結構あります。

 ところが,不動産会社によっては,面倒で買手のつきにくい借地権は扱いたくないなどと言われ,売るに売れずに困ってしまうなどといったこともあります。

 こんな時,友人が引き取ってくれるというので,友人に建物を売約して移転登記をするといったことをしてしまうと大変なことになりかねません。地主さん賃借権の無断譲渡だと言われ,裁判ということにも。

 建物を売却する際には,賃借権譲渡承諾を停止条件とするといった工夫が必要です。

 なお,最近では,借地建物売買専門の業者による入札制度などもありますので,そういったものを利用するといった方法もあります。

 3 譲渡・建替えの承諾料の相場がわからない。

 ネットを検索すれば,相場的なものがいたるところで紹介されております。ただ,更地価格の何%,借地権価格の何%といった紹介しかされていないため,そもそも更地価格,借地権価格の算出の仕方がわからず,結局よくわからないといったことになりかねません。

 更地価格等を出すのに鑑定という方法もありますが,鑑定には多額の費用を要する上,鑑定をしたからといって最終的な結論が出るわけでもありません。

 結局は,地主さんとの交渉ということになってしまいます。

 4 相続で地主が誰かわからない。

 この時,一番注意をしなければならないのは,誰に支払っていいのかわからないからといって,地代の支払いを滞ることです。

 地代の支払いは,借地人の最大の債務ですから,これを長期間怠ったとなれば,借地契約を解約されかねません。

 相続人の調査は,個人のプライバシーにも関わることですので,なかなか簡単にはいきません。

 弁護士であれば,事件解決に必要な範囲で調査が可能ですので,滞納する前に弁護士に相談することをお勧めします。

 5 借地非訟の申し立てを受けた。

 借地非訟の申し立てを受けるのは,地主さんの側が多いかと思います。

 多くは,借地権譲渡承諾,建替承諾,条件変更承諾ということかと思います。

 裁判所の手続きですので,専門的な知識が必要となる分野ですので,経験のある弁護士に相談することをお勧めします。

 6 借地契約を更新したくない。

 地主さんからすれば,もともと自分(ご先祖)の土地なのだから,契約期間が満了すれば返してもらって当然だと思うかもしれません。実際そういった意識の強い地主さんも多いようです。

 しかしながら,借地法は,借地人の生活の安定という趣旨から,更新を拒絶したとして,正当事由が認められない限りは,更新を拒絶することはできません。

 結局,多額の立退料を支払った上で,立退きをお願いするか,裁判により決着をつけるしかないということになります。

 正当事由の判断に関しては,数多くの判例の集積があります。事例を分析した上で,どのような対応が,最も望ましいのか,専門の弁護士に相談した上で適切な判断をすべきだと思います。

 立退きを請け負う業者もおりますが,そのような業者に依頼することが,弁護士法72条違反(懲役2年以下,罰金300万円以下)にもなりかねませんので,慎重な対応が必要となります。

 7 底地を誰かに買ってもらいたい。

 底地を売却したいと思った場合,通常借地人が一番高く買ってくれるかと思います。しかしながら,借地人にお金がなければ難しいですし,それまでの人間関係から相談しづらいといった事情もあるかもしれません。

 底地の買取業者に見積もり依頼をした場合,想定していた金額よりも随分と低い見積額が提示されることも多いと思います。

 底地の場合,流通性が低く,自ら使用することもできないのですから,どうしても買取価格が低くなってしまいます。

 最近では,底地の入札を行っているところもあるようです。

 そういった手続きを経ての金額であれば,ある程度客観性があるのですから,売買価格にも納得できるかもしれません。

 8 地代が相場からかけ離れている。

 地代の場合,そもそも相場自体を知ることが困難だと言えます。

 しばしば,固定資産税,都市計画税の何倍といった表現がされますが,それとて商業地域か,東京都内か地方かによてまるで異なりますし,一般に公表されているものでもないため,実態を把握するのが困難な面があります。

 そのため,高い,安いを当事者が議論をしても,なかなか結論を得られないところかと思います。

 裁判所に訴える場合,地代の増減額請求の場合,調停前置といって,訴訟の前に調停手続きを踏む必要があります。

 裁判所による手続きですから,弁護士に依頼した場合には,当然,弁護士費用が発生してしまいますし,思ったように地代が増額あるいは減額とならなかった場合には,弁護士費用分を回収するのにまた時間がかかるといったジレンマがあるところです。

 

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